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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(れ)858号 判決

本籍並びに住居

奈良県生駒郡安猪村大字東安堵四二五番地

皮革業

井上嘉男

明治四三年二月七日生

右の者に対する臨時物資需給調整法違反被告事件について、昭和二六年二月二八日大阪高等裁判所の言渡した判決に対し、被告人から上告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人枇杷田源介の上告趣意(後記)について。

しかし重要物資輸送証明規則三条は、輸送機関による重要物資の輸送を運輸業者に委託する者は、重要物資の運送について一口毎に所定の出荷証明書がなければ当該物資の輸送を運送業者に委託することができない旨を規定している。さればこの規定の趣旨から見て被告人の意図如何を問わず本件運搬委託行為は各回毎に一罪が成立するものと認めるのを相当とするから原判決の判断は正当といわなければならない。又所論引用の判例は何れも本件には適切でない。論旨は採用できない。

よつて刑訴施行法三条の二刑訴法四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文の通り判決する。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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